(ダイ)
では、泣いた話の最後ですね。
(管理人)
泣いた話ということでそうですね、今日このスペース開いたのはこの話をするために開いたようなものでお話しさせてもらいますけども、例えばですね、新人から若手の頃に設計やっていていろんな失敗、しょうもない失敗です。今から思うとしょうもない失敗が続いて自分が本当に情けなくなって家で一人で泣いたっていうことはあります。
ただこの話ってねあんま深掘りしても面白くないし、私が恥ずかしいだけなので、今日この話はしません。
またどこかで機会があったらしますね。まあ多分しないけど。
それはいいんですけど、中堅の頃ですね。
現場で。
現場でです。もう嬉しさが感極まって泣いてしまったっていう話をこれからします。
先に注意点を言っときます。
これから私がする話は美談ではない。決して美談ではないです。反省しなければいけない話になります。
ということを先に言っときますね。
じゃあ当時何をやっていたかというと、ある機械の更新工事で特に解体工事ですね。解体工事が始まるって時に私は直前まで全然関係ない違う仕事の担当やってたんですね。
だけどこの解体工事がヤバそうだっていう話になって放り込まれたんですよ。
現場が始まる1週間前に放り込まれた。
で、どんな機械かというとイメージしてもらいやすいところで行くと、岸壁にコンテナクレーンってあるじゃないですか。岸壁にクレーン。でっかいクレーンありますよね。あのクレーンの足元にモーターと車輪をつけて、岸壁沿いにレールを這わせます。そのレール上をクレーンが走って任意の位置で荷役をするというような機械。
そしてこれが岸壁とかじゃなくて内陸にある。そういう機械をイメージしてください。
その機械のですね総重量でいくと700トンとか800トンぐらい1,000トンはなかったと思うんですけど、それぐらいの機械を解体するという仕事なんですよね。
そしていわゆる定修工事。工場を一時期止めて10日間 ぐらいでしたかね。工場を止めてその間にやってくださいよっていう。定修工事ですね。
700トンとか800トンとかなのサイズになってくると解体撤去すると言っても一体物でドン!と吊り上げてどこかに持っていくっていうことがなかなか難しいので、その場で20トンとか30トンぐらいの部位で解体して、移動式のクレーンでそれを吊って、下ろして、下ろしたやつをまたちょっと小バラシしてトレーラーとかトラックでスクラップヤードに持ってきますよと。
そういう工事なんですよね。
そういう工事に1週間前ぐらいに放り込まれて。これぐらいの規模になると1週間前となったら段取りがいろいろ始まってる状態ですよね。
段取り始まってるって状態で放り込まれて。
で、最初に何をやったかって言ったら計画書を見せてもらうんですよ。担当者から計画書を見せてもらったら やっぱりザルなんですよね。その計画が。
あまりにもザルだからこれやばいなって思ったんですけど、案の定現場の職人さんたちの親方、まあ割と気心が知れてる人だったので親方が私のところに来て「お前これどうすんの?大丈夫かよ!?」みたいなことを言われて、私もどうしましょうかね?アハハ。みたいな感じではあったんですけども、でもまあそこから一生懸命に計画をブラッシュアップして。
毎日毎日書き直して日中は現場出て計画がザルなんで計画にないところを色々職人さんと話ししてこうやりましょう、ああやりましょうって判断をして、こうしてください、ああしてくださいって指示を出して。
そして現場上がって帰ってきてその日の進捗をチェックして、全体の進捗とかも確認して、明日の計画を書き直す。
みたいなことを、ずっとそういうことやっていたんですね。
で、まぁかなりタイトな状態でしたし、私としてはめちゃくちゃ毎日胃が痛かったんですけどそれでもまあなんとかオンスケで仕事は進んでたんですよね。
まあそうなってくると職人さんたちとも信頼関係ができて。
まあなんだかんだで仕事、現場がうまく回っていたなっていう感じだったんですよ。
ここでちょっと余談というか、脱線するんですけど、この「職人さんたちと信頼関係を築く」っていうところで、何でしょうねドラマ仕立ての話とかだとよくある話が「職人さんと一緒に作業をやって、一緒に汗をかいて、重たい荷物を運んで、そうやって一緒に作業をやることで信頼関係を築く」みたいなそういうドラマ仕立ての話を見聞きすることがあるんですけどね、私これ絶対にやらないです。
絶対やらないです。
一緒に作業をやったところで職人さんと仲良くはなれると思うんですけども、そこで築いた信頼関係っていうのは本当の信頼関係じゃないと思ってるんで。
じゃあどうやって信頼関係築くかというと先ほど言いました。
「判断と指示を徹底して行う」
これはこうやってください。ここはこうやってください。これはこれでできます。判断をしてこうやってくださいと指示を出す。
そうすると職人さん達っていうのは動いてくれるんですよ。テキパキと。となってきたら彼らに任せた方が作業って絶対うまくて綺麗で早く仕上がるんですよね。
私が一緒になって作業するよりも絶対にうまくて綺麗で早く仕上がるんですよ。
むしろ私が手出すと邪魔って言われるんですよね。
まあそういう形で判断と指示を徹底的に下すというところをやっていくと、そうすると仲良くはなれない。嫌われることもたまにあるんですね。
だけど信頼関係は作れる。
一つ象徴的な話がこの現場であって、職人さんが不安全行動をしてたんですよね。そういうときに限ってお客さんが見てるんですよね。担当者が来てるんですよね。現場に。
そのお客さんの担当者がそれを見て、いろいろフラストレーション溜まっていたんでしょうね。現場で私めちゃくちゃ怒られたんですよ。その担当の方に。
めちゃくちゃ怒られて、足元の砂とかブワーッてかけられたりしたんですよ。
それぐらい怒られたんですけど、「すいません。ちゃんとやります」ってその場は何とか納めたんですよ。
で、その場はなんとか収めた。それを後で親方がその話を聞いて詰所で休憩時間に職人さんたちに一言言ってくれたのが「お前らこいつに恥かかすんじゃねぇ」って言ってくれたんですよね。
普段そういうこと言うキャラじゃない人なんですけど、そういうふうに言ってくれて。
めちゃくちゃ嬉しかったですし、「あーこの現場いい現場になったな」というふうに思いつつ現場を進めていきました。そんな感じで信頼関係ができて職人さんたちともいい感じで、私は毎日計画書き直してて胃が痛かったけど、やってきた中で迎えた大詰め。
機械の上部はだいたい撤去終わりました。解体が終わりました。
一番最後に残った足元の、モーターとか車輪がついている走行台車と言われるところ。
これを一体で吊り上げるという仕事が残っていて、これが一番重たい部位。
この現場で一番の大仕事だったんですよね。
で、いざ玉掛けをして持ち上げようとしたら持ち上がらなかったんですよ。
理由はいろいろあるんですけども、まあ元々計画した人を責めることができないなっていう理由になるんですけども、理由はちょっと今日割愛しますね。
まあいろいろなことがあって持ち上がらなかった。
クレーンの能力が足らなかった。
じゃあどれだけ足りないか?っていうのをどう確認するか。いろいろ考えて計測をしたんですね。で計測して10トンとか20トンぐらい足りないな、と。
じゃあそれを補うためにはどうすればいいか?
ということで重機の配置とかいろんなこと、計画を見直して重機屋さんとも話をしてこうしましょう、ああしましょう。じゃあこれったらできるね。っていう段取りまでその日につけて。
その日は段取りまでつけて終わり。
その次の日に実際その重機の配置を変えて吊り上げて、吊れました。撤去できました。ってなったんですよね。
ただこの時点でもう1日工程が遅れてる。
吊り上げて、撤去して、下ろして、多少のバラシ、で1日。
その次の日にバラしてスクラップヤードに持っていく。これで1日。
でその次、3日目で最終全部現場をしまい。片付けをして終わり。
という予定だったんですけども1日遅れちゃった。
工期は明日1 日しかないんだけど2日工程残ってる。
という状態でさあどうする?って話になるんですよね。やり方、やる方法としては2つしかない。
一つはお客さんに頭下げて1日遅らせてください。1日伸ばしてくださいって言う。
そうすると、これを言われたことある方いらっしゃると思います。1日遅れたら生産が1日遅れる。その分の保証どうすんだ!と。
1日ストップしたら何億っていう損害だ!どうすんだ!って言われるんですよ。
で、もう一つやり方がある。
それはどうするかと言ったら最終日に職人さんたち全員残ってもらって、やり終いでやる。 1日分の作業量、8時間ぐらいですね。となるとアフター5から8時間残業をやると日付が変わっちゃうぐらいまで残ってもらって作業をやる。
ここで初めて私は判断できなかったんですよ。
どっちにするかっていう。
だって、ここまでの仕事もすごくストレス度合いの高い現場でずっとみんなにやってもらっていて、これまでも別に5時にサッと上りとかなくて残業もいっぱいやってもらってる。
そんな中ですごく心身ともに疲れがピークなんですよね。
そんな状態で日付が変わるぐらいまで残業やってくれ、なんて言えないんですよね。
かといってお客さんに1日遅らせてくれって言ったら何億の損害どうすんだ!?みたいな話になるのは分かっているので、どうしようかなって。判断できなかったんです。
この時に職人さんの方から「春山さんこれ、ここまでやらなきゃいけないんですよね」って言ってくれた。
で、自発的にですね。残って、残業でやり終いで全部やってくれたんですよね。
そこからすごかったですね 私が何も指示を出さなくても職人さんたちみんな、自分たちが一人一人何をしなきゃいけないか、どこまでやらなきゃいけないか、次は何をしなきゃいけないか、すごいね、全部把握してくれてて何も言わなくてもみんなすごく有機的に動いてくれたんですよね。
その現場を私ボケーっと見てたんですよ。
ずっと。
そして日付が変わるぐらいになった時に終わりが見えてきた。
終わりが見えてきた頃にあまりにも嬉しさが感極まって泣いちゃったんですよ。泣いちゃってたんですよ。気づかなかったですけど。
でも泣いちゃってたんですよね。
で、これはですね。嬉し涙なんですけど、これ本当は嬉し涙を流しちゃダメなんですね。
悔し涙じゃないとダメなんですよ。
だってどんな理由があれ現場を工期通りに終わらせることができなかったんだからだから。
私は本来、悔し涙を流さなきゃいけない。
職人さん頑張ってくれたら終わった、嬉しいなんて言ってる場合じゃないですよね。
それともう一つ反省しなきゃいけない。
これ判断私間違えてるんですよね、私。
そうやって職人さんたちが言ってくれたことに甘えてそのままやってもし何か、これまでの時間にもヒヤリハットとかも結構あったんですけど、もし何か事故があったらどうしますか?
取り返しがつかない重大事故が起きたらもう取り返しがつかないですよね。
だけど逆にそこはもうやめて、1日延ばしてくださいってお客さんにお願いする。頭下げてお願いすると、1日延ばしたことで工場の生産が1日止まりました。
1日ですよ!365日のうちの1日ですよ。
大変かもしれないけれど挽回する方法なんていくらでもあるじゃないですか。それ挽回できないんだったらそれはもう経営のミスですよ。
というところで当時もうすでに私は技術士だったんですけども、技術士倫理がどうのって話もあるんですけども、そこは安全第一を判断しなきゃいけなかったのに判断できなかったというところですごく悔いの残る仕事。
涙流したとか言っときながらね、なんか美談のように聞こえるかもしれないけども、すごく悔いが残る仕事ということで今日は皆さんにこの私の懺悔を聞いて欲しかったっていうのが今日の話ですね。
あと1個だけ後日談があって。
途中お客さんから砂かけられたって話があったと思うんですけども、現場が終わった後に後日談なんですけど、「あそこの現場には妖怪砂かけジジイが出る」って 噂を言いふらしときました。
はいというわけで私の話以上になります。
(ダイ)
最後の話いりました?(笑)
(管理人)
それが言いたかったためにずっと話ししてきました。
びっくりしましたもん、かけられた時。「なんだこのジジイ?!」と。
(ダイ)
絵が浮かびます(笑)
それはそれとしてお話しすごくわかります。
私も管理職なんですけど任せるっていう、信頼関係。一番難しいんですよね。
すごい難しいけれど任せる信頼関係って一番大事だなって。
要は部下を本当に信頼して難しいテーマでも遅れていても信頼するって。
でも本当それを続けると部下がやっぱりさっきの話じゃないですけど、判断できるようになるんですよね。
あなたはこういうふうに言ってますけど、僕はこう思うのでこういうアクションをとります。ちょっとこういう調整だけしてください。
とかやってくれるようになるんで、やっぱりそういう任せる信頼関係ってすごい。
マネジメントとしてすごい、コミュニケーションとマネジメントかなと思います。
すごい重要だなって改めて思いましたね。
それ多分その今回の関係に関わらず(監督と職人に関わらず上司と部下なども同じ)だと思うんですよね。
そうやって任せていく中での成長。
(管理人)
職人さんたち最初は嫌だよ、とか。本当にできるの?とか。
そういう否定的なところから入ってきたりするんですよね。
特に初めましての職人さんとかだったら。でもそれがいろいろね、やっていくうちに信頼関係ができてきて最終的に自分たちで自発的にいろいろ動いていってくれたっていうのは 嬉しかったなってシンプルに思いますね。
(ダイ)
最初に聞いてもあなたの言ってる意味わかりません。とかなんでこんな仕事するんですかって。最初はそう絶対それあると思うんですよね。それって上司部下の関係でも上司の言ってることすごい理不尽です。何で私こんなことしなきゃいけないんですかって。
そういうケースが多いですよね。
(管理人)
そうですよね。マネジメントする側と実作業する側と、結局見えてるものが違うので。
目の前の物を溶接する人と全体を作り上げる人ってやっぱり見るもの、見るべものって違うんですよね。
そこの違いっていうのはあるけど、だからその実際作業する人に話も聞くということは大事ですし、その中で全体的にどうすればいいかっていうのは判断しなきゃいけないし。
それで職人さんたちと対立するみたいなことはやっぱりあるんで。そういう意味で別に私は職人さんと仲良くなるっていうことはあまり無かったりして、ちょっと一線引かれる、みたいなところが多いんですけど。
信頼と仲良し全然違う。そこを履き違えちゃいけないなっていうのがありますよね。
(ダイ)
アルエさんどうですか?
(アルエ)
最初はその任されるっていうのが怖かった時っていうのがやっぱりあると思うんですよね。でも経験を積んである程度まで行くと次は任せて欲しいっていう方が勝っていくんだろう なと思って。
そこのでも、どこからがそうなのかっていうのは難しいなとは思いますね。
任せると思うところと、怖いと思うところの線引き。
(管理人)
多分ね、マネジメント側からしても難しいのは、どこかで任せなきゃいけないけど特にその最初の一歩って失敗する可能性の方が絶対高いじゃないですか。
で、失敗してもリカバリーできるように任せるっていうところがすごく難しいなと思ってて。
今日の私の最初の失敗した話っていうのは分かりやすくて、あれ私は失敗したけどその装置自体は1年間通して動くものじゃなくて、閑散期なんか2ヶ月ぐらい平気で止まったりする装置だったんですよ。
だからそれを任せてもらったんですよ。それを1週間で改造するみたいな感じだったから。
1週間で改造しきれなくても2ヶ月は止まってるから、まあその気になれば何とでもなるし社内の設備だったっていうのもありますし。
だからある意味でまあ1週間で終わらなくても何とでもなるっていうようなものを任せてもらって。
で、最終的に先輩がけつふきしてくれたっていうのもあるんで。
そういうなんていいますかね。
リカバリーができる案件がうまくあるかとかそういうタイミングもありますし、その辺の難しさはあるかなって気がしますね。
(ダイ)
あと僕ちょっと聞いてて思ったんですけど、判断と指示の徹底っていうの。
そこも大事だなと思いましたね。
(管理人)
言われたんですよ。
全然まだまだ経験浅い時に一緒になって作業しようとしたら、その時の親方に「春山!お前は手を出すな」って。
「お前は次のこと考えろ」って。
怒鳴られたんですよね。
それがずっとやっぱり心に残ってるって感じですよね。
そういうふうに言われるって思ってなかったので。
手を出して手伝ったことが感謝されるとまでは思わないけども、それがそのときに必要かな?と思ったやったら全然違うことを言われて。手出すなって。
邪魔だ!ぐらいの勢い。
(ダイ)
でもさっき「ボーっと見てた」と言ってましたけど、なんか実際仕事してなんかやっぱちょっとそういう感覚に落ちるときあるじゃないですか。
でもその判断と指示というのが明確な仕事であり、それが大事な役割。それができていればずっとボーっとしてても極端な話、良いと思います。
(管理人)
でもね、怖いんですよね。判断するって。
特に現場で判断するってめちゃくちゃ 怖いんですよ。
30トンぐらいのものを据え付けるってときに1回あったんですけど、ダクトを据え付けるって時にここからここまでまず撤去して、新しいものを放り込むという感じですね。
古いやつを撤去して新しいのを放り込もうとした直前に何回か測ってみたらどうやら100ミリぐらい長そうだと。
10mぐらいのダクトで100mmぐらい長そうだってなったんですよ。
そしたら100mm切れってみんな言うと思うんですよ。
ただ10mで10トンぐらいのダクトを目の前にしてね、それを放り込むってなった時に 100mm切れって判断できますか?!っていう話だ。
それをね決断できますか?って話なんですよ。
100mm 切って入れたら短い!ってなったらどうするのって。
10mもあれば 100mなんて誤差ぐらいのレベルじゃねえのっていうところもあるんですよ。
その判断ができますかっていう。実際それで 100mm切ってもらって放り込んでうまくいきましたけど、そういうところですよね。怖い。
ダメだったらごめんなさいっていう覚悟を決めていますし、ダメだった時はその時のリカバリーもちゃんと考えた上でではあるんですけど、それを(判断を)現場任せにしちゃう人が多すぎるんですよね。
めっちゃくちゃ話しが飛躍、、、やめとこ。やめときます(笑)
いや、いろいろ現場任せにしすぎる人が多すぎるから、もうすっごいお前ら技術者やめろって思うんですよね。(判断を)現場に技能者に任せるなよ。任せるんだったら技術者名乗るなとか設計者名乗るんじゃねぇなんて、ちょっと思うところがあって。
以上
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