本日は受験生、指導者の両面からお話することができればと思っています。
おかげさまで昨年から本格的に指導する機会をいただき、会社内外で3人の方が筆記試験を突破することができました。また口頭試験も数人ご指導させていただく機会をいただきました。
皆さんご存じかと思いますが、口頭試験で使うのが、業務経歴です。そして口頭試験の前にある筆記試験。これらは全てつながっています。これらに本人の一貫性がないと仮に筆記試験に合格しても最終的には合格できないのでは思っています。
そのため、第1歩である業務経歴についてはぜひ十分に時間をかけてほしいと思っています。
・目標と課題、問題、そして成果(評価)を明確にすること
・コンピテンシーをやっぱり理解というか腹落ちしてから書く
・他部門の指導者に理解してもらえるようにすること
ひとつめは当たり前かもしれませんが、これが明確になっていないと、口頭試験において技術的な議論になることが考えられるからです。
口頭試験では、コミュニケーション、リーダーシップ、マネジメント、評価、継続研鑽等を問う試験です。業務経歴の技術的な点を議論する場ではなく、対話がメインです。
課題や問題等が明確になっていないと、この詳細業務の課題は何だったのか、その課題は解決できたのか、それは定量的にどの程度解決したのかなどなどの質問が想定されます。
それを理解してからメインの質問に入るとみられます。もちろん解答することは大事ですが、コンピテンシーに関わる質問につながっているかどうか分からない部分もあります。
評価という観点で解答できればよいですが、そもそもの質問になり、それについての討論になる可能性になってしまいます。いい意味で余計な議論はしない、対話することにできるように業務経歴を整理することが大事かなと思います。
そのため基本となる目標値、課題と問題、その最終的な結果は最低限でも明確にすることが大事かなと思います。
私が受験生の時、口頭模擬試験を面着で行いました。
4人いましたが、1人の方は今話した内容で先生から色々質問攻めにあっていました。
前提条件や背景など説明してそれだけで5分程度かかっていた気がします。
それがコンピテンシーのどこに評価されたかというとなかったのではないかと思います。
先生もそのような評価でした。
その時の対策は、最初の「業務経歴を紹介してください」という流れで文章を訂正して説明するというお話になりました。
でもその質問がなければ、軌道修正するのは非常に難しいなあという印象も持ちました。
その意味でも業務経歴書は本当に本当に重要で今から作成しても遅いのではと思うくらいでした、振り返ると。
2つ目は個人の反省点です。
業務経歴書を書いた時、はっきり言えば、コンピテンシーを十分に理解した状態ではありませんでした。
その上で書いています。
720文字の中でコンピテンシーを織り込みながら業務経歴書を書くなんてなかなかできないと思います。
でも、口頭試験ではコンピテンシー(マネジメントやリーダーシップなど)について評価します。
その中ですこしでも業務経歴書にそのエッセンスを入れることができれば、さらに楽に口頭試験は進められたと思っています。
私は業務経歴の詳細説明を2分でしてほしいという質問で補足説明しました。
それによって、面接官もそれにちなんでコンピテンシーに間質が飛んできたので、それを業務経歴に少しでも追加することができれば、よりスムーズに進められたのではと振り返ります。難しい話ではありますが、余裕があればぜひ取り入れたい要素です。
3つめは、他部門の技術士に指導してもらうことです。私は化学部門なのでそもそも指導してくれる方は周囲にいませんでした。また、先生もいませんでした。結果、二人の方に指導してもらいましたが、いずれも化学部門の方ではありませんでした。最終的にはそれが良かったと思っています。
ちなみに共通する指導内容は共通して「コンピテンシー(特にリーダーシップ)は弱い」「課題と問題が明確でわかりやすい」「技術的着眼点ははっきりしている」でした。他部門の方でも化学のある程度専門領域を理解、指導してくれたことは、文章が理解されやすかったのではないかと自己評価しています。私が口頭試験を受けた時、業務内容、つまり技術的な質問は一切ありませんでした。
それは技術的な内容は理解してもらったのでコンピテンシーに関する質問に行きますよということであると解釈しています。
口頭試験ですが、面接官は同じ部門ではありますが、必ずしも自身の専門性を理解しているとは限りません。
個人的には化学の人が、有機、無機、高分子、化学プロセスを全て知っている人って相当少ないと思っています。その意味でも最低限、他部門の方にも理解できることが程度にもよりますが、ポイントとしてあると思います。
ちなみに内容はふせますが、詳細業務は決してレベルの高いことをしているものではありません。研究レベルの成果のひとつです。特許1件登録できた程度です。別に技術力が高いことを証明する機会ではないので、一定の技術をよりわかりやすく、そして資質にあった内容を業務経歴に書くことができればよいのではないかと考えております。ふつうの技術でも応用能力を使って解決したことを720文字という制約の中でわかりやすく説明すること、これが業務経歴上における技術士にふさわしい内容だと思っています。
その観点で書いていただければと思います。
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