素材さんと申します。
部門はここでは明かせませんが、素材ジャンルに属するマイナー部門に初受験で合格しました。
年代はミドサーで、文科省の技術者キャリア形成スキームでも例示されているとおり、技術士取得を推奨されている年代です。国の指針に沿ったモデルとも言えます。
さて、本日は時間も短いので焦点を絞ってお話させていただくのと、その都合で一部過激なことも申し上げますが、どうか最後まで聞いていただければと思います。
まず、私の受験動機にもつながる部分ですが、技術士を目指していただきたい属性が2つあります。
一つは、自分は仕事ができると自信のある人、こういう人は是非とも受けていただきたいと思います。もう一つは、自身のレベルチェックをしたい人、こういう人にもお勧めできると考えます。
実は、率直に申し上げて、個人的に技術士という資格に対して良いイメージがありませんでした。
数年前、技術士の方と一緒に仕事をさせていただきましたが、その方が優秀という印象は全くなかったからです。
技術士のススメのメンバーの方が取得され個人として活躍されているのを横目に見ていても、技術士資格そのものについて、心の奥底では当初の印象が大きく覆ることはありませんでした。
しかし、実際に自分が受けてみないとわからない部分もあると考え、今回受験に踏み切りました。
技術士試験にチャレンジして合格してみて、技術士という資格そのものはぶっちゃけ大したことないという印象は変わらなかったです。確かに私は技術士二次試験に合格しましたが、それで偉くなったわけでもなく、自分自身の能力が向上したわけでもないからです。
ただし、技術士の試験を通じて、自分自身の成長はあったと考えています。意外と基本に忠実になることは難しいのではないか、ということをこの試験を通じて感じました。もう少し掘り下げると、この試験を通じて学んだことが3つあります。灯台下暗し、温故知新、現状維持は退化、の3つです。
1つ目、灯台下暗しに対して、自身が取り組んでいる業務を深く理解することは意外とできていなくて、意外とハードルが高いのではないか、と感じています。
例えば、業務で使っている設備・装置、測定機器に対して、原理原則をちゃんと理解している人は少ないのではないでしょうか。
またダイさんもポストされていましたが、技術報告書をしっかり書くということも意外とハードルが高いと考えます。
社会人始まってから私自身は強く意識していましたが、できている人は意外と少ないというのが実感です。
業務理解と技術報告書の執筆、これはどちらも技術者としては基本的なことにもかかわらず、です。
基本的なことを蔑ろにしていると足元をすくわれます。
自分自身について、この項目ではぶっちゃけ大丈夫だろうと感じていて実際に課題は感じなかったのですが、重要さを再確認させていただいたという点で良い機会になったと思います。
2つめは温故知新、古きを訪ねて新しきを知る。
2次試験は論述で、必須問題では幅広く問われます。
今ある社会課題に対して、どのようにアプローチしますか?と問われます。
最先端のことを聞かれているようで、古いスキームと同じやり方でうまくいっている前例が現実にあると私は考えています。
例えば素材系だと半導体や電池などの分野ではリサイクルが叫ばれていますが、皆様の身近に成功例があったりします。
いくつかの分野での成功例について、どのようなスキームで運用されていて、なぜうまくいったのか、を自分なりに研究して整理をしました。このような調査項目のうち一つが試験にも出題され、この部分に関する回答としては事なきを得た実績があります。
3つ目は現状維持は退化ということです。
私は口頭試験でかなり絞られました。正直不合格だと思っていましたが、何とか合格ラインに乗せて頂いたと考えている。
私は工場系の業務を行っており、技術士の面接官でアカデミック出身者が多いと言われますが、アカデミック寄りの内容はあまり得意ではありません。
継続研鑽の質問事項に対して、これまで取得してきた工場系資格や特許出願をアピールしたが、試験官に鼻で笑われ、詰められました。君は規定路線で良いのではないかと勘違いしていないか?、新しいことにも常に取り入れることが技術士のコンピテンシーであり、技術士としての責務だがわかっているのか?ということを問われました。かなり面喰いましたが、現状維持の考え方を改めるよう指導されたと私は受け止めている。
この口頭試験の問答を踏まえ、これまで学会発表経験もなければ論文を読むこともほとんどなかったのですが、試験後論文を読むようになりました。こうした意識を心がけるようになって、新しいことに目を向けて、変化に対応できる能力を維持することの大切さを学んだ。現状維持だけでは技術士にふさわしくないということを感じた次第です。
それほど勉強時間を割いたわけでも、能力が向上したわけではありません。それでも、灯台下暗し、温故知新、現状維持は退化、という3点の気づき・理解の深化を得られ、結果として技術士に合格させていただけたと捉えています。
基本を再認識して己の認識の甘さを改め、次のステップに向けて進むための良い機会だったと考えています。
管理人質問1.受験していく中で、不安に感じるところはありましたか。
論文の添削を受けておらず、独学で取り組みました。具体的には、必須、選択の計3題から私が考える合格要素を抽出して、これをもとに受験対策を行っていました。ただ部門の一致や信頼できる先生を探す労力・時間を惜しんで独学を選んだこともあり、自分の考えが妥当だったのかは常に不安でした。
はるやま質問2.技術者のキャリアとして、技術士が自分の将来像に活かせるかどうかの不安などはあったか。
不安はなかったです。技術士の使い方が明確だったからです。私は技術のキャリアを歩み続けることは考えておりません。一方で技術者としてのレベル感について、職歴以外の客観的なエビデンスを得るという明確な位置づけを想定していたので、特に不安は感じませんでした。
管理人コメント
知名度低い資格だが、知っている人は知っているし、知っている人からは評価を受けることができる資格ではあるというのは感じます。
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