はじめまして、Hazaculaです。令和4年度の技術士試験に合格しまして、現在金属部門の技術士をやっております。今日は、私のキャリアについてお話ししたいと思います。キャリアっていうか、私がこれまでどういうことを考えて自分の業務とか、転職をやってきたのかってのを話していきたいと思います。
まず私の専門ですね。私金属部門の技術士ですけど、その中でも「表面技術」で受けてるんですね。で、表面技術にもいろいろありますけど、ガチの専門は何かというと、めっきになります。めっき、金属の薄膜を付けるあの技術ですね。でその中でも、めっきもいろいろあるんですけど、特に湿式めっきですね。水溶液に電気をかけたり化学反応させたりして、金属皮膜を作るやつです。たまにめっき屋さんでシアンの漏洩とか、そういうニュースあったりしますけど、あのめっきですね。化学反応で金属の皮膜を作るめっき、それが専門です。
その中でもですね、特にめっきの薬品の組成を決定するというのが私の専門の業務になってます。めっきの対象がなにかっていうのも色々あるんですけれど、私の場合特に専門でやってるのがエレクトロニクスですね。基板とか半導体のウェーハとか、こういったものにめっきする薬品で、簡単に言うなら「電子回路の回路を作る」、それ用のめっき薬品を専門にやっております。
で、私はこれまで二回転職してまして、今三社目で外資系なんですね。前の二社がいずれも日系なんですけれど、これまでどういうキャリアで、現在の外資に至ったのかということをお話ししていきたいと思います。
まずですね、私の大学時代の専門なんですけれど、化学が専門だったんですね。純粋化学、応用化学じゃないほうの化学ですね。でその中でも、研究室では有機ELとか有機薄膜太陽電池っていうのをやってました。つまるところ、有機化合物の機能を利用して、電気を作ったり光らせたりということをやっていたんですね。そういうのをやっていたので、就職するときもそういう機能性の有機化合物を扱う会社に入りたいと思ってました。で、そういう会社も受けたんですけれど、私が就活をした時期が2010年なんですね。2010年というとリーマンショックの翌年でですね、どこも採用が絞られていて、かなり苦戦しました。入りたい会社に全部落されまして、なんとかできそうな会社も受かりはしたんですけど、なんかピンと来なかったんですね。そういった状態だったので、どうするかなーってことで、機能性有機化合物を扱うっていう目標をまず捨てまして、化学で食っていける会社を探したんですよ。その時に、私の一社目の会社を見つけたわけです。そこが中小企業なんですけど、初任給が結構いいんですね。で、東京で働けるというのもありましたし、めっき薬品を扱う会社だったんですね。特に、金とかパラジウムとかの貴金属のめっき薬品です。で、めっきというのもよく分からなかったし、めっき対象もエレクトロニクスということで、私が研究していた対象に微妙に近いというのもありまして、なんか面白そうだなというそれだけの理由でめっき薬品メーカーに入りました。
でその会社がさっき言ったように貴金属めっき、あと後処理剤、封孔処理剤とかの、特にエレクトロニクス、半導体のパッケージ基板ですとかコネクタに使うめっき薬品を売ってました。その会社でやったことは何かというと、ひたすら研究開発をやりました。結構残業が多い若干ブラック目な会社ではあったので、忙しいながらも頑張ってとにかくがむしゃらに働きました。正直忙しすぎて、自分がどこの何に使うめっき薬品を作っているのかいまいちよく分からない状態で、ただひたすらお客さんの要望に合った薬品を作ることだけを目標にしてやっていた感じですね。ただ、忙しいながらも仕事はそれなりに面白い部分もあったんですよ。あと結構自分のキャリアの役に立ちました。というのも、めっきというと金属の薄膜を作るので金属分野だと思われがちなんですけれど、実際のめっき薬品というのは化学の分野なので、有機化学ですとか無機化学ですとか、物理化学ですとか、そういった基本的な化学分野はみんな使うんです。あと、成膜した金属薄膜の物性も調べなきゃならないので、物理化学や物理とか、もちろん金属学ですね、そういった他領域に渡る知識を使うんですね。そういった中で、自分がこれまで身に着けてきた化学の知識をどうやってめっき液開発に生かしたらいいのかっていうのを学ぶことができました。またそこで、それまで知らなかった金属学とか、そういった知見も身に着けることができました。ただ、その会社仕事は面白くはあったんですよ。あったんですけど、やっぱり残業が多くてですね。わたしがいつも報告に行く上司がいつも残業まみれで、すんごい疲れた顔しててですね、いつも上司の疲労加減を伺いながら報告に行かないといけないという状態でして。正直ここで働き続けるのきついなーと思ったんですよ。なので、30代の前半あたりに一回目の転職をしました。
このとき転職エージェントを使いまして、色々受けた中で一般めっき用の薬品を扱っている会社に受かりまして、その会社が結構私を高く評価してくれたというのもありまして、その会社に入ることに決めました。正直このときはまだ、自分のキャリアとかを考えずに決めちゃったわけですね、転職先を。それでちょっと後悔がありました。というのもこの2社目の会社がですね、あまりに合わなくて。正直、給料は前職と同等の額は提示してもらえたんですけれど、正直騙されまして、思ったほどは貰えなかったというのがありました。あとは、とにかく技術力が低い。あと前時代的なパワハラがあったりですね、全体的にレベルが低い会社に入ってしまったわけですね。私が入る前にしっかり調べなかったっていうのもあるんですけれど。それでかなり、転職をこの時後悔しました。で、たぶんそのストレスのせいだと思うんですけど、今患っている潰瘍性大腸炎も、この2社目に入った時に発症しました。なので、ここで転職失敗というか、挫折を味わいました。
そこで私が何を学んだかというと、転職はいいんですけど、テキトーな転職はダメだということを学びました。やっぱり転職するときは、その後の自分のキャリアというか、これから自分がどうなっていきたいのか、そういうことをしっかり考えなきゃいけないな、ということをここでしっかり学べました。ここからですね、自分のキャリアをどうしていこうかっていうのをしっかり真剣に考えるようになったんですね。ただ、2社目の会社はダメなところもあったんですけれど、残業自体は少なかったので、その空いた時間でかなりいろいろ学ぶことができました。これまで自分が前職で扱ってきた製品が一体どういったものなのか、めっき業界がどういった物なのかということも学ぶことができました。あと時間があったので、公害防止管理者の資格とかも取得しました。あと、それまで全然関わってこなかった前処理とか、あとアルミやプラスチックといった難めっき素材の前処理なんかもここで学ぶことができました。2社目の転職は正直失敗だったなって思うんですけど、ここの会社で学んだものは、やっぱりその後のキャリアで活かせてますね。
で、2社目で失敗したので即転職に動いたんですけれど、結局2社目の会社には2年ほどいました。なんで2年いたかって言うと、コロナ禍があって転職が難しかったっていうのもありますし、そこで今後の自分のキャリアをどうするのかってのもしっかり真剣に考えたからっていうのもあります。
そこでですね、私のめっきのキャリアを語るうえで欠かせない情報として、まずめっき薬品業界についてちょっと語らなければなりません。ハッシュタグつきで画像を一個上げますので、良かったら見てください。今あげますね。
今ハッシュタグで検索していただけると、たぶん一番上に出てると思います。めっき薬品を扱う会社って色々あるんですけど、結局私なりにまとめると、工程として前処理と中間と最終。前処理が、めっき素材をめっきするのに適した状態にするやつで、中間が、基板向けで話しますけど銅めっきとかニッケルめっきとかですね。で最終めっきが貴金属、パラジウムめっきとか金めっきとかになります。一方分野としては、比較的低純度とか低清浄度でいける一般めっき。車の部品とか、いわゆる外装の防錆とかそういったもの向けのめっきですね。それから中間が、基板の中でもプリント基板とかパッケージ基板とか、樹脂系のやつですね。で、一番高純度で精密かつ高清浄度が要求されるのが、半導体のウェーハになります。私なりに勝手にめっき薬品業界を分類するとこんな感じかなって考えてまして、この中で自分がこれまでに経験した分野が赤枠で囲った部分になります。見ての通り、1社目で経験したのが、中間部分の基板コネクタとかと、最終のパラジウム金めっきですね。2社目で経験したのが、前処理と一般めっき。なので、中間部分の銅とニッケルめっきですとか、あとウェーハのめっきというのが全く欠けていたわけですね。
じゃあここからキャリアをどうやって立て直していこうかってときに、自分なりにどうしようかって考えたんですけど、まず4つ考えました。
1つは、自分のやりたいこととか、将来どういう風になりたいのかっていうことですね。私この時点で営業も多少経験あったんですけど、営業は自分に合わないなって思ってたんで、技術系で今後もやっていきたいなと思ってました。特に技術系の研究開発系のトップの様な、そういう人間になれたらいいなぐらいで考えていたんですけど、とにかく技術系で今後も食っていきたいなと思ってました。
2つ目は、何の分野をやっていくかですね。エレクトロニクスと一般めっき両方やったんですけど、個人的にはやっぱエレクトロニクスの方が面白かったんですね。なのでエレクトロニクスをやろうと思いました。
3つ目が、その分野の将来的な成長性なんですけど、これは言わずもがなですね。半導体は今後絶対に必要になるので、成長するかはさておき、少なくとも食いっぱぐれは無いだろうと思いました。
4つ目が、万が一これでキャリア立て直せなかったときに大丈夫かなってリスクヘッジなんですけど。半導体分野やっていれば、少なくともめっき薬品以外でも基板作るメーカー行ったりとか、装置メーカー行ったりとか、いくつか道は開けるからなんとかなるだろうと思いまして、この方向で行こうと考えたんですね。
でそういったときに、自分に足りないものは何かなと考えたら、さっきの図に戻るわけですけれど、まずエレクトロニクスのやつはいろいろ扱ってきたんですけれど、ウェーハの経験がなかったんですね。あと前処理と貴金属めっきもやってたんですけど、その中間、銅とニッケルの経験がなかったんです。なので、この部分の経験をやっておけば、基本的にエレクトロニクス系はどこでもいけるだろうと。なので、そういった会社がないかなと探しました。あとは、その他資格とか語学が活かせればいいなといった感じで探したわけですね。
でそういった中でいくつか受けたんですよ。その中で3社ほどから、内定あるいは内定の直前まで行った会社があったんですけれど、そのうちの1社が現在勤めているところになります。外資系の企業ですね。なんでそこ選んだかっていうとですね、まず一つ目の会社がとあるベンチャー系の企業で、銅めっきを扱う企業だったんです。銅を扱えるっていうので、私の抜けてる経験の部分は埋められるんですけど、ただやっぱウェーハじゃなかったんですね。プリント基板系の比較的低純度側の方で、ちょっと私の目指してる方向ではなかった。で2社目が大手企業だったんですけれど、ここはめっき薬品の開発とかめっきの製品の開発とかできて、面白そうではあったんです。ただ、扱う製品がこれまで経験したコネクタのめっきだったんで、新しさがなかったんです。そういった中で、今勤めてる会社っていうのは外資系の企業でリストラのリスクとかもあったんですけど、銅めっきがすごい強い会社だったんです。であと、私が配属される予定の部署っていうのが、半導体用のウェーハを扱う部署であって、私のこれまでの経験の欠けている部分をちょうど補うような仕事ができるわけですね。あと英語で仕事もできるし、給料もそれなりに良いというので、もうここに決めようということで決めました。
正直、製品の一からの研究開発ってのは出来ないというにもあるんですけど、そのデメリットを補って余りあるほどのメリットが得られたんですよ。それで、現在の外資を選んだという感じになります。
じゃあ実際その転職は成功だったのかと言われると、正直会社に問題もあるっちゃあるんですけど、ただやはり半導体用のウェーハのめっきと、ニッケルと銅めっきとかを経験できたので、非常に良かったなと思ってます。あとですね、外資とか半導体のウェーハのめっきっていうのは、結構これまでやってきためっきとは文化が全然違うんですよ。そういった中で仕事する中で、新しい文化を学べたっていうのはすごい良かったです。あとは、会社では結構高く評価してもらってるので、おそらくいわゆる出世というか、より上の職位に上がれるんじゃないかなとも思ってます。なので、しっかりと今後のキャリアを考えてやった2回目の転職っていうのは成功だったんじゃないかなと自分的には思ってます。
ちょっと長くなってきたんでそろそろ纏めますけど、私は結局一回転職で失敗して、そこから自分のキャリアの立て直しを考えました。そこで考えたことが、自分が今後何をやりたいか、何の分野をやっていくか、転職した後のリスクヘッジ、諸々ですね。そういったことをしっかり考えて、3社目の会社を選んで、結構今回の転職は上手く行ったなと思ってます。自分の経験の幅もすごく広がったなと思ってます。なので、最後どう纏めたらいいのかちょっと難しいところですけれど、自分のキャリアをしっかり考えるというのは重要なんだろうなと。転職するもしないも自由ですけれど、将来的に何をどうしていきたいかと考えるのは重要だと考えてます。たぶん、今の会社にずっとは勤めはしないでしょうけれど、エレクトロニクス系のめっきでいろいろ経験できたので、たぶん今後もこの道で生きていくんじゃないかなと思います。まだこれからどうするかは完全には決めてないですけれど、少なくともエレクトロニクスのめっきの分野で今後も食べていくっていうのは変わらないと思います。ちょっと最後上手く取りまとめられなかったですけど、以上になります。
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